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体、吊り属具重量物周辺である。これらは全て作業に関わるために、人はその周辺に位置せざるを得ない。作業者はこれらが正常に稼働している限りは比較的危険は少ないが、時には回転体に対して巻き込まれる方向に手足を置くことや、回転を逆転したときにそうなってしまうことがある。また、索や属具の動く方向に位置してしまうことがある。このようなことは初心者では不慣れのため、熟練者では慣れのために起こる場合が多い。
高齢者は異常時に危険から離れる早さが遅くなる。したがって、災害を防ぐには、動きの方向からして安全側に、そしてできるだけ距離を保って、異常時に逃げる距離的、時間的ゆとりを保つことであろう。

 

b.待機・待避(大きな属具の異常な動きを予想した待機位置)

 

危険個所と危険物は上記のとおり多様である。これらが動いている間にその周辺にいないことが一番である。それには、作業の進行状況と今何が稼働しているかを周知しておくことである。クレーンの稼働状況を無視した行動で事故になったケースは大変多い。したがって、作業で危険個所にどうしても立ち入らなければならない人以外は、そして作業者自身でも場合によっては、安全な位置にいなければならない。作業状況の憶測によって、とかくこのことが忘れられるので、できれば監視者を配置し、立ち入りを防ぐことである。

 

c.適正人員(作業、待機・待避のスペースの確保と無理な姿勢と力を要しない人員)

 

人の動作は身体寸法と移動可能範囲に制約されており、適正な作業空間がある。限られた範囲以内に密集すれば動作が制限されて、身体や物が当たる災害が生じやすくなる。一方、離れすぎると、共同作業では急な移動や無理に身体を伸ばすなどの動作が発生しやすくなる。物を支えたり移動するときには荷重が偏る。特に高齢者では動作の対応力が低下するので、これが誘因になって災害を引き起こすおそれがある。
これを防ぐには、配置の偏りをなくすように、そして不足している場合には他の作業を中断しても配置に行かせるなど、ゆとりある作業指揮が大切である。

 

 

 

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